ミソフォニアとは?不快な音に対する反応を分析したものです。
The Kinetic Basis of Misophonia
DOI: https: //doi.org/10.1523/JNEUROSCI.0261-21.2021
内容
ミソフォニアとは、他人の飲食や呼吸などの日常的な音に反応して、怒りや不安などの強い否定的な感情を抱くことを特徴とする障害のことです。
このような特性は、患者やその家族に多大な影響を与えますが、どのような音が障害の引き金になるのかさえ分かっていません。
研究者らは、これらのトリガーとなる音が咀嚼などによって生じることから、口腔顔面運動に関連するミラーニューロンシステムがミソフォニアの背景にあるのではないかと考えました。
この研究では、ミソフォニア患者と対照群において、安静時fMRI(rs-fMRI)の接続性(n=33、16人の女性)と音誘発時fMRI反応(n=42、29人の女性)を比較していました。
ミソフォニア群では、トリガー音に対する聴覚皮質の反応に違いは見られなかったが、一般的な音の知覚時に聴覚皮質と口腔運動皮質の間に強い機能的結合が見られ、トリガー音に反応して口腔運動皮質がより強く活性化する特徴が見られたとのことです。
これらの結果は、ミソフォニアのモデルを、他者の口腔・顔面動作の「過剰鏡映」に基づくものとしており、音は他者の動作が過剰に鏡映される「媒体」であるとしています。したがって、ミソフォニアは、音に対する反応の低下ではなく、その音の生成に関わる運動系の一部の活動の発現を理解する必要があると考えられると述べられています。