難民の受け入れが紛争を引き起こすという考えは、研究によって否定されています。

Revisiting the Impact of Refugees on Civil Wars: A Global Local Analysis

ZHOU, Y., & SHAVER, A. (2021) Revisiting the impact of refugees on civil wars: a global regional analysis. American Political Science Review, 1-22. doi: 10.1017/S0003055421000502

内容

大規模な文献によれば、難民の受け入れは紛争のきっかけになると考えられています。しかし、これらの主張には、受け入れたことによるポジティブな影響が見られないという仮説があり、この研究ではそれを調査しました。

1990年から2018年までの地域レベルでの難民コミュニティと内戦の発生場所に関する世界的なデータを用いて分析した結果、難民の受け入れと、新たな紛争が発生する可能性の高さ、紛争の長期化、暴力事件や死傷者の増加との間に関連性は見られませんでした。

さらに、紛争リスクが大幅に減少する可能性が高い国家の状況についても調査しました。夜間照明を開発の指標とした分析と、専門家へのインタビューにより、研究者の主張が裏付けられました。難民が安全保障上のリスクであるという主張に対して、プラセボテストとマッチングを用いて、選択バイアスの可能性に対処しました。むしろ、多くの場合、難民を受け入れることで地域の発展が促進され、紛争が減少する可能性もあることが示されました。