食べ過ぎの謎が解明されました。
Unraveling the Mystery of Why We Eat Too Much
DOI:10.1016 / j.neuron.2021.09.020
内容
2019年、ワシントン大学医学部のStuber研究室の研究者たちは、肥満のマウスで特定の細胞が光り、満腹感や気持ちを示す信号を妨害していることを発見しました。
この研究では、これらの細胞の役割をより深く掘り下げています。
その結果、これらの細胞は、食事を含む意欲的な行動を制御する中枢である脳の視床下部外側領域に存在し、これらの神経細胞は2つの異なる脳領域と連絡していることがわかりました。これは、意欲、報酬、依存症に大きな役割を果たしていることでよく知られている腹側被蓋領域です。
Stuber研究室では、脳の報酬回路における重要な細胞群の機能を研究し、治療法を発見するために、依存症や精神疾患における役割を明らかにしています。
そのためには、脳の他の部分を傷つけずに、これらの細胞を薬物で標的にできるかどうかが問題となりました。
研究チームは、マウスに餌を与えたときに、外側手綱核の神経細胞が腹側被蓋野の神経細胞よりも反応していることを発見し、これらの神経細胞が食物誘導に大きな役割を果たしている可能性を示唆しました。また、レプチンとグレリンというホルモンが食べ方に及ぼす影響についても調べました。この2つのホルモンは、脳内の報酬経路の重要な構成要素である中脳辺縁系ドーパミンシステムに作用することで、行動を制御していると考えられています。
しかし、これらのホルモンが脳の視床下部側部の神経細胞にどのような影響を与えるかは明らかになっていないため、研究チームは、レプチンが外側手綱核に投射する神経細胞の活動を鈍らせ、腹側被蓋部に投射する神経細胞の活動を増加させることを発見しました。
しかし、食べることをコントロールする脳の回路は、少なくとも部分的には、薬物中毒に関わる回路と重なっていることが示されました。