人間もサルも、ペイオフが大きいと失敗しやすい。
Monkeys show paradoxical decline in performance in high-stakes scenarios
PNAS August 31, 2021118 (35) e2109643118; https://doi.org/10.1073/pnas.2109643118
内容
人はリスクの高い状況下では、潜在的な報酬が大きいほどパフォーマンスが向上する「プレッシャーで息が詰まる」などのフラストレーションを感じる現象を示すことがあります。しかし、潜在的な報酬が高くなりすぎると、逆説的にパフォーマンスが低下し、「息苦しい」状況に陥ります。
これまでの研究では、なぜ人がプレッシャーで窒息するのかを動物モデルで調べ、また、これが人特有の事象である可能性も検討していました。動物も窒息するかどうかを調べるために、3匹のアカゲザルを訓練して、難しい課題を行わせました。この課題を成功させたときに与えられる報酬の額をあらかじめ知っていたところ、人間のように潜在的な報酬が非常に価値のあるものである場合に、サルのパフォーマンスが低下することが示されました。
報酬が最も高いレベルで発生した失敗は、リーチに慎重になりすぎたことが原因とされ、行動を明示的に監視することが窒息につながるという心理学の理論と一致していました。
これらの結果は、圧力下での窒息は人間に特有のものではなく、神経基盤は異なる種間で保存されている可能性があることを示していました。