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【プロが教える】骨盤矯正の科学的根拠

Friday, May 28, 2021

骨盤矯正

【プロが教える】骨盤矯正の科学的根拠

 骨盤の歪み

整体などで、「腰痛や肩こりなどの症状はこの歪みが原因です!」と骨盤の歪みを指摘された経験はありますか?

色々なところで物議のあるこの話題について、しっかりと調べてみました。

「骨盤の歪み」の研究論文

Google検索にて「骨盤の歪み et al」と調べると1件だけ該当する研究論文がありました。

これは、「利き脚および組み脚が立位姿勢の骨盤前傾角に与える影響」というタイトルのもので、フリーで閲覧できるので興味のある人は読んでみてください。

この研究論文の結論としては、「利き脚、組み脚が上になる方の骨盤には前傾が見られた。」というものになっています。健常者の男子大学生24名を対象とし、立位の状態から骨指標と角度を調査し、ツールによって分析され出された結論となりました。

この文面で述べられていたのは、一般的に骨盤の前傾は利き脚、組み脚の上側で有意に起こっており、脚長差などの影響もあるのではないか?という結論がありましたが、研究内では脚長差は調べられていないし、X線で確認もされていないという制限事項も述べられていることから、骨盤の歪みが骨格筋に影響を及ぼしているものなのかを裏付ける研究論文でないことが伺えます。

しかし、この論文は査読済みなものなので、骨盤の歪みの理論の裏付けとして引用している人もいるのかもしれません。

※一応、海外サイトでも検索を「distortion of a pelvic et al」としてみましたが、該当する研究はありません。

歪みがあることが分かるものなのか?

著者も整骨院で勤務しているときは、上述の研究のように骨指標を用いて評価するようなシステムが社内にありましたのでやってはいましたが、正確性については非常にバラツキもあり、信頼に欠ける指標とは認識していました。

よって、疼痛などを評価する項目として不十分なので、診断基準や臨床評価として骨指標を参考にすることは無かったです。

歪みによって痛みが起こるものなのか?

このことについては、骨盤の歪みというものが基礎医学的には認識されているものでもありませんし、各種整形外科疾患にも骨盤単独の歪みを指標として診断するなんてガイドラインもありません。

腰痛のガイドラインでも、骨盤に関する記載は一文もないので、腰痛症の原因として骨格筋を疑うことはあっても、骨盤の歪みを考慮することはやや暴論にも思えます。

骨盤矯正のここだけの話

骨盤矯正の方法、というものが全国共通のものとしてあるのか?というと著者はその存在は知りませんが、多くの骨盤矯正の手法は骨盤周りの筋肉を緩めたり、伸ばしたりなどのアプローチによって行われます。しかし、これらの方法を行ったからと腰痛症や肩部痛などの「疼痛」が解決するのかの関連性は不明です。

骨盤矯正のみで、マッサージなどを利用する機会も少ないのでは?と思われることから、全身マッサージと何が違うのか説明することも難しいですし、骨盤矯正のみでそれらの疼痛を除去する実験が行われ、裏付けがあるのかも不明です。

著者は、これらを提供していた時は、結局のところ全体の筋肉に介入し、全身マッサージ的なものを行っているので、何がどう変化を起こしているのかを数値化することは出来ないと思っていました。

まとめ

骨盤矯正の科学的根拠は見つかりません。もし、それに関する研究論文などがあれば教えてください。日本語と英語でしか検索していないので、他の言語だとあるのかもしれませんね。

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