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【バレエ】指導者や親などが抱える悩みを解剖学で解説したって話

Monday, January 25, 2021

バレエ



今回はバレエの解剖学について

バレエ、ダンスを指導する際に、解剖学だけではなく、発育上の問題にも直面してくることがあります。


何歳からバレエを習い始めるのが良いのか?

メソッドなどによって考え方は様々ありますが、医学からの考えとして8歳以降が良いという考えがあります。

理由として、足の骨の成長が関係してきます。

8歳を過ぎるころには、足の骨の骨化が進んでくるためではあるが、実際には25歳あたりまで骨の成長は続くと考えられています。

このことから、8歳から始めたとしても、レッスンの量・強度は限られた範囲で行われることが望ましく、昨今では疲労骨折の経験のある指導者の下ではこのことに乗っ取っている指導が行われています。



外反膝の子はレッスンに適するのか?

人の体は生理上、軽いX脚気味とは言われていますが、偏平足の外反膝を持つ人はバレエのレッスンには適さないという考えがあります。

理由として、膝や足首、他の関節などなどのケガをするリスクがあるためです。

調べ方として、簡易的に行われるのは

①立位で
②足先を少し外に向け
③両足をくっつけます。

この際に太ももの発達度合いでは、膝がくっつかないこともあるかもしれませんが、問題とするのは踵がくっつくかどうかです。

足首から踵にかけた直線が折れ曲がった状態では、地面から蹴り上げる力が股関節・体幹部まで伝わらずに、膝周りの筋肉の発達に影響が出ることが懸念されるからです。

これはレッスンを始めてすぐに起こるだけではなく、将来的に何らかしらの障害が起きる可能性も考えた上で、この膝の問題を解決する必要があります。

X脚は成長と共に消失するという安直な考えを起こす人もいるようですが、発生した年齢ではそれが叶うことはありません。

安易に治らないX脚もあるということを知るためにも、どの程度なのか見極めるための受診を検討することも必要です。


O脚は治るのか?


O脚はX脚と同じようにトレーニングで治る!とは考えない方が良いです。

自力で股関節を外旋させ、踵を合わせ、両足がくっついたとして、見かけ上のO脚が矯正されたように見えても、努力を止めるとまた戻ってしまうということになるからです。

トレーニングで幾分修正できるとは考えられてはいますが、バレエにおけるテクニックの習得を妨げる要因にもなり得るため、O脚の子供を指導するとなるとこういった前提を踏まえ対応する必要があります。

また、O脚にも修正しやすい、しにくいというタイプがあり、これらは骨の形状の問題と考えられています。



反張膝の子供への対応


反張膝は踵にかかる負担や太ももを引き上げるどんな動作においても、トラブルを引き起こす可能性があります。

このことから、反張膝があると本人の努力があったとしても難しい調整が必要とされてきます。

反張膝の原因としては、O脚の名残、O脚との合併といった要因が考えられるが、はっきりとした理由は不明と言われています。

腰を前方へ出し、体重を足の前方側へかけることで、見かけ上の外反膝は修正できることもありますが、このことが如何にトラブルを招きかねないかはわかっていただけるかと。



アキレス腱が硬すぎる


アキレス腱は日常生活上、大きな負担を強いられることは少なく、最もアキレス腱に負担が掛かる足関節の動作は背屈です。

バレエではプリエなどの動作において、背屈をしっかりと行う必要があるため、アキレス腱が硬いことはあまり好まれません。

アキレス腱自体は、腓腹筋やヒラメ筋と呼ばれるふくらはぎの後ろ側にある筋肉から、足の裏にかけて付着するものです。

アキレス腱を伸ばそうとしても、筋肉の方が伸び、腱そのものは伸びないため、ドゥミ・プリエの動作自体を踵が着いたままできるよう反復する必要があります。

そして、女性の場合、バレエとは関係ない場面でハイヒールを着用している人は、アキレス腱も短く、ふくらはぎの筋肉がストレッチされづらいという問題も出てきます。



ハムストリングスは伸ばせるか?


ハムストリングスの柔軟性は必要とはされますが、昨今立位体前屈時の手を床にベタっとくっつけることが望ましいという風潮もあります。

そのことから、体幹前屈時に脊柱の椎間板に圧力がかかり、繰り返される頻度によっては炎症を引き起こすことも懸念されています。

よって、柔軟性を出すためには、バーなどに片足をかけてから、体を前に倒すような伸ばし方が理想とされています。

できる人は限られるようですが、この際に太もも前面の筋肉に強く力を入れ、後面の筋肉を伸ばすといった方法もあります。

痛みが伴った状態のストレッチは厳禁であるということで。



側弯症はバレエで治るのか?


非常に大きな問題で、通常であればバレエ講師はもちろん、マッサージなどの矯正といったことも扱える状態ではないということを知っているべきです。

整形外科へ受診してもらうって案件となります。


しかし、見かけ上の側弯症もあります。

これは小さい子供は、体のアンバランスさを持っていることから、そういわれています。

一方の肩が僅かに高かったり、体幹からウエストにかけたラインが左右非対称だったり、耳や肩甲骨の高さが異なっていたりとです。

こういった状態を見極めるためにも、前屈した際の背中表面上の隆起だったり、肩甲骨の浮き出方だったりを観察する必要はあります。


トレーニングによって改善された、という例もありますが、現在では状態を診断してもらうことから、何んらかの取り組みを行うと良いと考えられています。



まとめ

今回の情報自体、閉鎖的なバレエのメソッドが元な情報であり、バレエに向かない子は習わないだろう、という考えが随所にみられるものです。

確かに、伝統的なバレエテクニックを追及していくと、体格の審美的な問題も出てきますが、何かしらの問題があったとしても受け入れることが必要となってきます。

人より背骨が曲がっている、人より膝が入り過ぎている、O脚が治らないなどそれぞれの特徴がありますが、それらを好きになることが重要というところまでをご存じください。


しかし、事実骨格的な問題は、骨切り術などを治療法として選択する例を見たことがありますが、安定するまでの苦労を知っているので安易におススメは出来ません。

筋トレ、ストレッチ、矯正などでこれらは治りませんので、お間違えなく。

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