今回は抗酸化物質と健康について
抗酸化物質と聞くと何を思い浮かべますか?
ビタミンE?コエンザイムQ10?
健康食品などで良くおススメもされるこれらですが、科学的に根拠はあるのか?ということを考えたことはあるのかもしれません。
しかし、謎生理学などの説明でそれらの関連性が明らかにされていないのに関わらず、健康に寄与することを謳う健康食品は数多くあります。
今回は抗酸化物質の科学的根拠について紹介します。
抗酸化物質とは?
合成、天然の物質で細胞の傷害を予防したり、遅らせる性質を持つ物質が抗酸化物質です。
抗酸化物質にはビタミンC、E、セレニウム、ベータカロチン、リコピン、ルテイン、ゼアキサンチンなどのカロチノイド類があります。
・抗酸化サプリメントは服用する薬によっては相互作用を引き起こす可能性があるため、専門の医療提供者に相談する必要性はあります。
フリーラジカルと抗酸化物質について
フリーラジカルとは、運動したり食べたものをエネルギーに変える過程で作られる体内の物質のことで、煙草の煙、大気汚染、日光などの環境要因でも体内に生成されるものです。
フリーラジカルは、細胞の損傷を引き起こす酸化ストレスの原因となり、疾病の一因であるとも考えられています。
抗酸化分子は酸化ストレスの作用を弱めることが、実験室において確認はされていますが、人体において高容量のサプリメントを摂取したところで体に良いのかはわかっていません。
安全性
高用量の抗酸化サプリメントの摂取において、有害であることが報告されている事例もあります。
高用量のβカロチンサプリメントを喫煙者が摂取すると肺癌のリスクが増え、高用量のビタミンEサプリメントをとることは、脳出血や前立腺癌のリスクが増えることが研究結果からわかっています。
また、薬剤との相互作用もあり、ビタミンEサプリメントは抗凝固剤を服用している患者に対して出血リスクが増えます。
癌治療中患者において、抗酸化サプリメントを摂取した結果矛盾した結果もあることから、疾病を治療しているときに、これらを摂取することを検討するならば相談ありきということが推奨されています。
研究
食生活の研究では、抗酸化物質を含む食品を多く摂ることは、疾病の予防に役に立つ示唆があることが分かっています。
この結果から、多くの抗酸化サプリメントも研究が行われており、厳密な試験を行った結果から、高用量の抗酸化サプリメントは疾病の予防効果は認められていません。
研究の一例を下記に述べます。
・45歳以上の女性、約4万人を対象にした調査では、ビタミンEサプリメントは、心臓発作、脳卒中、癌、加齢黄斑変性症、白内障のリスクを減らすことはないということが分かっています。
しかし、ビタミンEサプリメントは心血管系の死亡原因を減少との関連性が認められていますが、被験者の総死亡率を減らす結果ではありません。
他にも似たようなエピソードの研究がありますが、同じような結果となっている場合が殆どです。
効かない理由
・抗酸化物質を多く含む食品を摂取している健康効果は、実際のところ他の因子も影響していることが考えられるため、このような結果になっている。
・研究において、高用量サプリメントを摂取することと、実際の食品に含まれる少量の抗酸化物質の摂取とでは異なる結果が出る可能性があるから。
・食品に含まれる抗酸化物質とサプリメントの化学成分が異なるため、その効果に影響する可能性がある。
・ある種の病気では、特定の抗酸化物質は作用するが、他の抗酸化物質では作用しないことがある。例えば眼病の場合、眼の中にあるルテインが、眼の中に含まれないβカロチンよりも効果がある場合がある。
・近年フリーラジカルに対しての考え方を改める動きもある。
以前は害であることが考えられていたが、有益なものであるのは?除去してはならないのでは?
・何十年もかけて進行する疾患に対し、予防できるほど長期的に抗酸化サプリメントを摂取できるとは考えにくいから。
・研究モデルに選んだ人が、酸化ストレスによる疾病ではなかったのでは?酸化ストレスが原因で罹患した場合の有効性は期待されている面もある。
まとめ
抗酸化サプリメントについては、特定の条件下においては有益な可能性はあります。
しかし、安価でもない酸化サプリメントを購入して飲み続けるぐらいなら、抗酸化物質の含まれている野菜と果物を摂取し続ける食生活をおくる方が良いと思います。
それでも自身が良いと思って摂取するのであれば止める理由もありませんが、基礎疾患の治療のためと摂取する人は係りつけの医療提供者に相談してください。