今回は病気のリスクを伝える際の伝え方について
医療従事者は時として、生命に係わること、望みを絶つことなど、
病状を患者に説明する上で心苦しくなることもあります。
どうやって伝えれば良いのか?という議論は多々なされているようですが、
今回は感情面などを抜きにした、数値面での伝え方について。
どういった統計数字を提示することが、治療転帰を良好なものと迎えさせることができるのか?ということについて、調査されている研究の結果を紹介します。
研究の内容は?
・83の比較を報告する35の研究を含めた。
政策立案者が関与した研究はありません。
リスクを提示するための代替形式の研究は、
診断検査またはスクリーニング検査のいずれかに焦点を当てています。
参加者(医療専門家および消費者)は、自然発生の割合をパーセンテージよりもよく理解していました。
介入のリスク低減を提示するための代替形式の研究では、ARRと比較して、RRRは理解にほとんどまたはまったく違いはありません。
NNTと比較して、RRRはよりよく理解され、より大きく知覚されより説得力がありました。
結論は?
自然周波数は、診断テストまたはスクリーニングテストのコンテキストでのパーセンテージよりもおそらく理解しやすいでしょう。リスク削減を伝えるために、相対リスク削減(RRR)は、絶対リスク削減(ARR)および治療に必要な数(NNT)と比較して、より大きく知覚され、説得力があります。ただし、RRRを提示することで、人々が自分の価値観と最も一貫した意思決定を行うのに役立つかどうかは不明であり、実際、誤解につながる可能性があります。この質問をさらに調査するには、さらに調査が必要です。
解説
例えば、ある研究が骨粗鬆症薬が今後3年間で股関節骨折を起こすリスクを50%削減することを発見した!という文章を読んだとします。
具体的には、3年間毎日骨粗鬆症薬を服用した人の5%と比較して、
未治療の人の10%は3年で股関節骨折を起こしました。
したがって、3年間薬物を服用した場合、股関節部骨折を患う人は5%(10%-5%)少なくなります。
言い換えれば、追加の患者が股関節骨折を避けるために、20人の患者が3年間かけて骨粗鬆症薬を服用する必要があります。
「骨折のリスクを50%カットする」ことは、相対的なリスクの減少と言えます。
「骨折が5%少ない」とは、絶対的なリスクの減少を意味します。
「患者が股関節骨折を回避するために、20人の患者が3年間かけて骨粗鬆症薬を服用する必要がある」というのは、治療に必要な数を表しています。
つまりは、相対的なリスク値を提示し絶対的なリスク値が提示されれば理解されやすい。ということになります。
しかし、注意点としては人は都合が良いことしか覚えれない生き物です。
数字が大きい方や、単純なものしか覚えることはできません。
「リスクを50%カットする=少なくなる、無くなる。」
と勝手に脳内変換をしてくることもあり得るわけです。
そんな時には「自然頻度」の統計を使うことが望ましいとされています。
何人のうちの5%少なくなるを、100人のうち5人少なくなるというように。
その表現の方が人は理解しやすくなると言われています。
伝えるときは、分かりやすく誤解されない表現が望ましいのかと。
Akl EA、Oxman AD、Herrin J、Vist GE、Terrenato I、Sperati F、Costiniuk C、Blank D、SchünemannH. 系統的レビューのコクランデータベース2011、問題3。アート。番号:CD006776。DOI:10.1002 / 14651858.CD006776.pub2。