KeiS a medical professional

This is a blog about the scientific basis of medicine. A judo therapist reads research papers for study and writes about them.

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【腰痛】運動療法と職場復帰の研究について

Sunday, December 20, 2020

腰痛

今回は腰痛症と職場で行うエクササイズについてです。

このブログは、医学と健康に関して後悔しないような選択肢をとってもらうために、 科学的根拠の高い論文などを紹介し、それをどう使っていくべきなのか?を私が解説・提案していくブログです。


職場によっては朝体操を実施したりしている企業もあったりしますよね?

あのような社内で行うエクササイズと、
腰痛症を患っている人が症状の軽減などの利点があるのか?という疑問を抱いたことがあります。

一見、腰痛=運動不足と捉えられている人からすると良いものとして認識してそうですが、腰痛も原因がはっきりとしないものがほとんどです。

安易に運動不足?だから運動したら治るよ。という問題でもなかったりします。

私の中でずっと疑問だったこのことについて大規模な調査をしている論文を見つけたので、内容を紹介します。

研究は、4404人の参加者と25のRCTについて報告した41の記事を含めました。
バイアスのリスクは16の研究で低かった。

3件の研究は急性腰痛のある作業員、
8件の亜急性腰痛のある作業員、
14件の慢性腰痛のある作業員を対象とした。

14の研究で、職場復帰戦略の一環としての身体的コンディショニングが通常のケアと比較された。
身体的コンディショニングとはエクササイズのことを指していました。

体調調整は、仕事への復帰のための設定日とともに、背中の強度と柔軟性を高めることを目的とした仕事関連の演習を伴う段階的な活動から主に成っていました。

背筋の強さと柔軟性のことですね。
昨今腰痛を予防、改善するのによく用いられている考え方です。


プログラムは、最大5セッションの軽いバージョン、またはフルタイムまでまたは入院治療として5セッションを超える激しいバージョンに分けられました。

急性腰痛については、3〜12ヵ月の追跡調査で、通常のケアと比較して、軽いものでも強いものでも、病気の不在期間にほとんどまたは全く違いがないという質の低い証拠がありました。

亜急性腰痛については、通常のケア単独と比較した通常のケアと組み合わせた激しい体調調整の有効性に関する証拠は矛盾していました。

しかし、サブグループ分析では、介入が職場で実施された場合、または職場での訪問が含まれた場合、追跡調査から12ヶ月の追跡調査で疾病休業期間が短縮される可能性がありました。 


慢性腰痛については、通常のケアに加えて統合ケア管理の一部としての身体的コンディショニングが12ヶ月の追跡調査で通常のケアと比較して病気欠勤日数を減少させるかもしれないという質の低い証拠がありました。
(1研究、134人の労働者; SMD-4.42) 95%CI − 5.06〜 − 3.79)

統合ケア管理のどの部分が最も効果的だったのかは不明である。

12ヵ月後の追跡調査で、激しい体調調整が通常のケアと比較して、ほんのわずかに病気の不在期間を減らしたという中程度の質の証拠がありました。
(5つの研究、1093人の労働者; SMD -0.23、95%CI -0.42〜-0.03)

運動療法と比較した身体条件付けは、亜急性および慢性の背中の痛みを伴う労働者にとって相反する結果を示した。
認知行動療法は、代替手段としてまたは身体的条件付けに加えて、身体的条件付けよりもおそらく優れていなかった。

Schaafsma FG、Whelan K、van der Beek AJ、van der Es-Lambeek LC、OjajärviA、Verbeek JH。腰痛のある労働者のための病気の欠勤を減らすための職場復帰戦略の一環としての体調調整。系統的レビューのコクランデータベース2013年第8号。番号:CD001822。DOI:10.1002 / 14651858.CD001822.pub3。


結論としては、急性、慢性期の腰痛に関しては身体管理プログラムという名目のこれを実施しても無治療との比較で差はなかったとのこと。

亜急性期に関しては僅かではあるが、有意差があったということでした。

身体管理プログラムというものは、個々の筋肉、神経などの反応に合わせて心肺機能を強化しながら運動を行うというものだったようです。

有酸素運動をプログラム化したものですね。

エクササイズといえど体重管理をしていなかったり、
栄養管理や睡眠管理まではしていない状態だったようです。

実験では、理学療法や作業療法、ソーシャルワーカーなどの
職業的な身体、健康管理に関してのプロも介入していた結果です。

12ヶ月行ってこれですので、革新的に行われる方法があったとしてもそんなに影響はない?と思ってしまうほどのものでした。


個人的には慢性期の腰痛症には効果があって欲しかった~という所なのですが、
調査の規模から言っても信憑性は高いものですので、事実として受け止めます。

 介入のコストが最小単位であるこのプログラムはそこだけが利点であり、
実質10人に実施しても1人未満の効果があるという結論なため、微妙な方法なのかもしれません。



こういった介入の方法よりも仕事で腰痛を患ってしまうその状況を変えることから始めたほうが良いのかな?と考える方が良いのでしょうね。


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