今回は知っていたいリラクゼーション療法について
リラクゼーション療法という言葉が街中や広告などで見かけるようになってきました。
リラクゼーションという言葉が入っているので、詳しい手段はわからなくとも何んとなしに効果の期待もしてしまう療法であります。
今回はリラクゼーション療法の概要や、得られているエビデンスについて紹介します。
概要
リラクゼーション療法は効果の裏付けをえるために様々な研究が行われています。
しかし、それらの研究は規模の小ささや質の低さなどが挙げられ、健康状態の変化に対する効果の裏付けとしては根拠性の低いものもあります。
この療法は身体面、精神面と老若男女問わず健康状態に良い効果を及ぼすことが謳われています。
前述の通り、科学的根拠に欠ける効果を謳っていることもあるため、重篤疾患や緊急を要する疾患を患っている場合は専門医との相談で利用することが推奨されています。
リラクゼーション療法の種類
・自律訓練法
身体の温かい、冷たい、リラックスしているなどの状態を把握し、身体的な感覚に目を向ける方法です。
・バイオフィードバックによるリラックス
電子機器などを用いて、身体機能を数値化し、それらの情報を得ることで身体コントロールすることを学びます。
・深呼吸または呼吸法
ゆっくりと落ち着いた深い呼吸に集中する方法
・誘導イメージ法
ネガティブな気分、ストレスのたまった気分などをポジティブなイメージを意識するように誘導する方法です。一般的には施術者が記録しながら行われます。
・漸進的弛緩法
一連の筋肉を緊張させたり弛緩させる方法です。
この方法はイメージ法や呼吸法などと併せて行われることが多いそうです。
・自己催眠
特定の言葉やフレーズを使わないようにする合図を決め、リラクゼーション反応を引き起こす方法です。
期待されている症状一覧
・不安症
基礎疾患が主だった不安症状を軽減することが確認されている研究もあります。
しかし、全般性不安障害を持つ患者に対しては良い成績は得られず、認知行動療法の結果が良いことから、リラクゼーション療法を適用できる疾患の見極めが必要となります。
・喘息
効果が確認されているエビデンスはないようです。
・陣痛
自己催眠による結果は良好とされており、疼痛緩和薬の投薬も減るそうです。
バイオフィードバックによるリラックスは芳しくない結果が出ているそう。
・鬱病
研究による有用である結果はあるが、認知行動療法で得られる結果より有意差があるとはいえないそうです。
・てんかん
てんかんのコントロールに有用であるエビデンスはないそうです。
・線維筋痛症
バイオフィードバックによるリラックス法以外のエビデンスはありません。
バイオフィードバックによるリラックスの場合、痛みを短時間和らげる結果は得られていますが、この方法が生活の質の向上、または長期的に有用たるデータはないそうです。
・頭痛
バイオフィードバックによるリラックスで緊張型や片頭痛に対して、痛みを緩和できるのかを検証している実験はあるようですが、その効果を証明する結果はありません。
そしてこの方法が、プラセボよりも有用という結果もないそうです。
・心臓病
不安症やストレスなどを緩和する効果が、検証により得られています。
・高血圧
リラクゼーション療法により、短期的に血圧の数値が下降することが確認されていますが、長期的に有意たる結果が出ている研究は確認されていません。
・不眠症
慢性的な不眠に対しては、この療法は効果的であるとのことですが、日常生活や食生活の改善などと組み合わせて行われることが望ましいとのこと。
・過敏性腸症候群
米国消化器病学会によると、リラクゼーション療法は有用ではないとの結論付けがなされています。
・更年期症状
閉経によるほてりやその他症状に対する効果が確認された研究がありますが、質が低いため明確な結論とはなっていません。
・月経痛
効果が確認された研究がありますが、研究の質が低いため明確な結論とはなっていません。
・吐き気
吐き気止めと誘導イメージ療法、漸進的弛緩法を併用すると良いという結果もありますが、癌化療法による吐き気ということに限定される話ではあります。
・悪夢
原因不明、心的外傷後ストレス障害などによる悪夢に対してはある程度良い結果があるそうです。
しかし、心理療法や瞑想より有意たる結果はないとのこと。
・疼痛
誘導イメージ法が、筋骨格系疼痛などに対し有用たる結果があるが、その研究の質が低いため確証までとはいかないとのこと。
また、癌治療の入院患者に対して行われた場合、痛みと不安に対して有用であったとのこと。
・心的外傷後ストレス障害
効果の矛盾する結果があり何とも言えないそうです。
・関節リウマチ
限られた確証として、追加治療として検討することもあるようです。
・耳鳴り
有効であることが示唆される研究もありますが、研究の質の低さから確証とまではいきません。しかし、症状の煩わしさに対して有用である結果もあります。
・禁煙
様々な結果から「補助」的な活用の仕方として検討されているそうです。
誘導イメージ法など限られた方法で有効であるという研究結果も。
・顎関節症
リラクゼーション療法が有効となる場合もあるようです。
有害報告
時にはリラクゼーション療法を行ったが故に、不安増大、侵入的思考、自制心を失うなどのネガティブな体験をすることが報告されています。
また、基礎疾患がある患者にリラクゼーション療法を実施したところ既往症状が発症したり、悪化したりするとの報告もあります。
漸進的弛緩法については、心疾患がある人は係りつけの医師と相談のうえ実施することが記載されています。
まとめ
リラクゼーション療法は簡易で安全に実施されることがある反面、無資格者が行え、場合によっては有用でない使われ方もされます。
そして、セルフで出来る側面もありますが、重大な症状の兆候を見逃すこともあるため、どうしてもリラクゼーション療法を実施したい!とい強い意志をお持ちな方は相談あり気なこともあります。
療法と言われてはいますが、治療法という段階で採用するには不明確な点もありますので、健康状態を維持するための手段として活用することが好ましいのかもしれません。
※瞑想、ヨガ、太極拳はこれらに含まれません。